2011年10月
我が国の健康寿命は世界一であり、日本の医療は WHO の評価では世界一になっていま す。それだけではなく、乳幼児の死亡率も世界最低です。また、国民皆保険制度で、誰で も、何時でも、何処の医療機関でも保険証を持っていけば受診できる制度は、世界に誇れ るものでしょう。ところが、最近、深刻な医師不足、病院閉鎖、患者のたらい回し、医療 事故多発など日本の医療は危機的な状況になっており、医療崩壊という言葉をよく耳にし ます。
救急車を呼んで患者は救急車に収容されても、救急患者を受け入れてくれる病院がなく、 救急車は動けずに現場に滞在を余儀なくされた件数は 1 年間で約 17,000 件に及んでいます。 このようになってしまった原因は、これでもか、これでもかと続けてきた医療費抑制政策 にあると思います。診療報酬を下げ続けた結果、多くの病院は赤字となり、病院の経営が 成り立たたなくなりました。平成 2 年には 10,096 あった病院は、平成 21 年には 7,701(76%) と減っています。政府は、医療費の抑制を行うのではなく、いざという時には、過疎地で あっても安心して掛れる病院を残すべきてはないでしょうか。
イギリスでは医療費抑制政策によって医療崩壊が進んだために 2000 年から 5 年間で医療 費を 1.5 倍に増やしました。日本でも、高齢者が増えると医療費がかさむのは当然ですから、 無理やりに抑制政策を進めるのではなく、福祉・医療にもっともっと予算を使うべきでは ないでしょうか。
おんが病院では、5 月から末廣剛敏先生をお迎えして、地域住民の方々が安心して生活し ていただけるように救急にもより力をいれています。医療の原点は救急にあるとの認識で これからも良質の医療を提供いたしますので、どうぞ宜しくお願いいたします。