おんが病院は、遠賀・中間地域の急性期病院として地元の医療機関と手を携え皆様の健康を守ります。

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診療科・部門紹介

循環器内科

2010年5月に当院循環器内科へ赴任しました。常勤循環器医不在の状況からスタートでしたが、医師会を中心とした諸先生方に多くの患者さんをご紹介いただいております。かかりつけ医と密に連絡をとり、当科で定期検診ができるような連携を強化しております。
循環器常勤1名体制ですが、当院で完結できる急性期疾患(特に心不全や不整脈疾患など)は積極的に対応できるようにしております。
特に心血管イベントの1次予防には力をいれており、その中でも高血圧治療に重点をおいております。現在も他施設と複数の共同研究をすすめており、最新の診断治療法を提供できるように心がけております。また原発性アルドステロン症をはじめとした2次性高血圧、また治療抵抗性高血圧の原因で最も多い睡眠時無呼吸症候の診断・治療も積極的におこなっています。今後は病診・病病連携をさらに広げ、遠賀中間地区の心血管イベント低減に貢献したい所存であります。

近年力を入れている臨床研究テーマ

近年特に力を入れている臨床研究テーマについてご紹介します。過去には心筋梗塞や腎疾患に関連する疾患感受性遺伝子を研究しておりましたが、現在はより日常臨床の診療で生じた疑問点を解決する臨床研究に取り組んでおります。

夜間高血圧(仮面高血圧の克服)

 高血圧治療に関する多くのエビデンスは診察血圧をベースとした研究より報告されております。しかしその診察室血圧よりも夜間から早朝にかけての夜間血圧や早朝血圧のほうが、より臓器障害や心血管イベント発症に関連するといった報告もございます。このような背景をもとに、診察室外血圧の評価とコントロールを目的に2012年2月より当院では24時間自由行動下血圧測定検査(Ambulatory Blood Pressure Monitoring:ABPM)を開始いたしました。2016年12月までで、820名以上の高血圧患者さんに検査を施行しております。得られた24時間血圧値や夜間・早朝血圧値と臓器障害との関連を評価する横断研究(血圧23: 44-47, 2016)、血圧管理状況(血圧 23: 58-61, 2016)を報告しました。またこの中で追跡研究に同意が得られた患者さんを5年間追跡し、24時間血圧値や夜間・早朝血圧値のいずれがより臓器障害や心血管イベントに影響しうるかを評価する縦断研究を他施設と共同ですすめております。

治療抵抗性高血圧(原発性アルドステロン症・閉塞性睡眠時無呼吸)

 利尿剤を含んだ降圧剤を3剤以上服用しても十分な降圧がみられない高血圧を、治療抵抗性高血圧といいます。当院ではこの治療抵抗性高血圧の原因精査と加療に力をいれ、医師会の先生方を中心に他施設と密に連携し取り組んでおります。特に若年性治療抵抗性高血圧のケースで要因となります、原発性アルドステロン症と閉塞性睡眠時無呼吸のスクリーニング検査を積極的に実施しております。原発性アルドステロン症は以前まれな疾患と考えられておりましたが、近年は二次性高血圧の中で頻度が高いcommon diseaseとも言われております。また原発性アルドステロン症の中でも家族性に発症する家族性アルドステロン症も報告されております。これらは疾患感受性遺伝子がまだすべて明らかとなっておりません。当院では最近一卵性双生児の家族性アルドステロン症を経験し(J Hum Hypertens in press)、現在ミュンヘン大学と共同研究をすすめており、この病態の疾患感受性遺伝子を明らかにすべく取り組んでおります。一方で閉塞性睡眠時無呼吸は治療抵抗性高血圧の原因だけでなく、若年でも睡眠中に発症する脳血管疾患イベントのトリガーとなる血圧変動(血圧サージ)をきたすことを報告しました(J Am Soc of Hypertens 10: 201-204, 2016)。またこの血圧サージは降圧剤の種類や投与方法により抑制できることも分かりました(Blood Press Monit in press)。前述の夜間高血圧のみでなく、夜間血圧変動も視野にいれた治療を今後もすすめてまいります。さらにこの血圧サージが特にどのような対象で認められ、長期的な予後に影響するのかを明らかにするため多施設縦断研究をすすめております。

Information and Communication Technology(ICT)

 降圧療法により心血管イベントを抑制するためには、診察室血圧を降圧目標値に達成することのみでは困難であり、家庭血圧また夜間血圧といった診察室外血圧を含めた24時間血圧コントロールが重要であります。しかし実臨床では、夜間血圧を含めた24時間血圧を評価することは、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)をすべての施設で取り入れることが困難であることから限界もございます。このような背景からまずは診察室外血圧で最も身近な家庭血圧のコントロールが重要となります。本邦における家庭血圧計の普及台数を考慮すれば、高血圧患者に家庭血圧測定の習慣をつける様に指導することが心血管イベント抑制への近道かもしれませんが、そのためには正確に家庭血圧を把握することが避けられません。現在普及している様々な家庭血圧手帳は利便性が高いですが、来院毎にすべての測定血圧値(平均値・変動性など)を評価することに限界があります。また患者さんによっては複数回測定し最も満足した数値のみを記録する測定バイアスが生じることや、その複数回すべての数値を記入され煩雑となってしまうことも日常的に経験します。その問題点を解決するための一つの方法として、測定した血圧値を即座に電子媒体に置換し、記録・評価できる様なシステムが理想的です。近年ICT(Information and Communication Technology)を用いて、この問題点を解決し得る家庭血圧測定器を用いたシステムが開発し実用化されております。本体内に携帯電話通信(3G)モジュールが内蔵されており、通信圏内であれば測定した血圧データを自動で専用サーバーへ送信し蓄積します。このシステムを用いますと、測定血圧値を主治医が遠隔地にいてもインターネット環境にいれば、リアルタイムに評価できるだけでなく、診察毎の期間が長期であっても家庭血圧実測値、平均値、標準偏差を用いた日間変動を容易に把握することが可能となることを報告しました(血圧変動エビデンス&プラクティス 先端医学社2016、血圧23: 32-37, 2016)。このICTシステムを用いて至適降圧剤投与法を検討した臨床試験も報告いたしました(J Clin Hypertens (Greenwich) 18: 1036-1044, 2016、血圧 21: 265-272, 2014)。また診察室血圧と組み合わせることで、白衣高血圧や、持続性高血圧とほぼ同程度の心血管イベントリスクがあり見逃されやすい仮面高血圧を、測定バイアスを除外できることから比較的容易に診断することも可能となります。当院では積極的にこのシステムを用いてより精度の高い血圧評価に取り組んでおり、多施設縦断研究に取り組んでおります。

たこつぼ型心筋症

 1990年に日本で最初に報告された心臓疾患であり、急性心筋梗塞に類似した臨床症状が特徴です。様々な発症機序が考えられておりますが、まだ確定的な機序は解明されておりません。この病態を明らかにするために、これまでたこつぼ型心筋症の発症機序やまれな症例を報告してきましたが(Eur Heart J 3編、Int J Cardiol 5編)、症例数が少ないことから系統的に考察することが困難でした。そこでイタリアの大学を中心とした他国の施設と共同で1,109例のたこつぼ型心筋症のデータをまとめ(Am J Med 128: 654.e11-9, 2015)、その発症機序を考察する報告をいたしました。現在はさらにこれらの内容も踏まえ、世界におけるコンセンサスステートメントを提唱するべく協議をすすめております。

担当医

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