診療科
部門
おんが病院循環器内科は2名の常勤循環器専門医と1名の非常勤循環器医(九州大学病院より派遣)で日々診療に取り組んでいます。主な対象疾患は、心不全、狭心症、不整脈、心臓弁膜症、下肢閉塞性動脈硬化症、高血圧症、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群などです。医師会の諸先生方を中心に他の地域基幹病院やクリニック・診療所等と密に連携を取っており、毎年500名前後の紹介患者様を診療させていただいております。
心不全手帳を作成しました!
❶心不全
心不全はいったん発症しますと、進行性であり致死性であると考えられております。また30-40%の心不全患者は再発し入退院を繰り返します。現在日本では心不全患者数が年々増加しており、2025年には心不全パンデミック(心不全患者の激増)が起こると推測されております。この問題を解決すべく、当院では多職種による心不全チームを形成し、医師のみではなくメディカルスタッフと共同し、新規心不全・心不全再発に取り組んでおります。今後一般の方を対象に心不全に対する知識を深めていただくため、心不全教室を定期開催する予定です。
❷狭心症
日本人の食の欧米化に伴い動脈硬化疾患は依然多くみられ、特にここ10数年で動脈硬化に起因して発症する疾患の若年化が進んでおります。特に糖尿病・高コレステロール血症・高血圧症・喫煙・睡眠時無呼吸症候群・高尿酸血症などを複数有する場合や、メタボリック症候群の方は若年発症する可能性あるハイリスクグループになります。狭心症は動脈硬化疾患の中でも、心臓を取り巻く冠動脈が狭小化する疾患であり、生命を脅かす疾患であるため早期の適切な診断・治療が必要になります。当科では狭心症が疑わしい場合、まず外来で非侵襲的にCT検査を施行し冠動脈評価を施行しております。もし狭心症の疑いが強ければ、1泊2日の心臓カテーテル検査を施行しております。しかしCT検査の段階で早急な手術が必要と判断された場合は、JCHO九州病院・小倉記念病院等にご紹介し、早期治療をすすめております。
❸不整脈
近年は特に超高齢化に伴い高齢者に起こりやすい不整脈疾患が増加しております。多くの不整脈疾患は薬物治療が主になりますが、ペースメーカー移植術が必要な場合もあります。当科ではペースメーカー移植術・交換術を施行しており、現在も130名以上のペースメーカー植え込みをされた方が通院されております。また今後遠隔医療が進んでくると言われておりますが、それに対応し2018年5月より遠隔モニタリングも開始し、受診されなくてもペースメーカーを介して現在の不整脈の状況が院内で評価できるシステムを開始しております。
❹高血圧症
高血圧症は循環器疾患(虚血性心疾患・心不全・脳血管疾患)の最大の危険因子です。現在4300万人の高血圧患者が日本にいると言われております。しかし実際病院で高血圧の治療を受けられているのはその半数であり、まだ多くの未治療の高血圧患者が多くおられるのが現状です。当科ではこのような未治療または血圧が高くても病院を受診されていない未受診の高血圧患者を、早期より治療にあたれる様に高血圧医療連携に力をいれており、年間で100名以上の高血圧関連のご紹介をいただいております。また特に心血管病に強く関連する早朝家庭血圧測定の指導や、普段なかなか測定することが困難であります夜間血圧の評価にも24時間血圧測定器を用いて力をいれております(特にこの夜間高血圧が、病院で測定した血圧よりも心血管病に強く関連すると言われております)。
❺睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Anpea Syndrome: SAS)は夜間のいびき、無呼吸、起床時の頭痛、夜間頻尿等を主な症状とする疾患です。従来は精神科、耳鼻科、呼吸器内科等で診断、治療が行われることが多かった疾患ですが近年は無呼吸に体内の酸素濃度が減少することが心臓、血管に悪影響を及ぼし、高血圧・心臓病等と関連があることが明らかになってきたため循環器内科で診断・治療が行われることも多くなっています。 当科ではSAS自体での自覚症状の改善、日中の生活の質の改善のみならず、循環器内科として心血管疾患を予防する目的からもSASの診断・治療を積極的に行っています。 診断として外来でのSASのスクリーニング検査(図)、簡易検査、また、1泊入院での診断確定のための終夜ポリグラフ検査(PSG 年間で約50名に実施)、診断確定後の持続陽圧呼吸(CPAP)での治療を地域の先生方と連携し積極的に行っています。