おんが病院は、遠賀・中間地域の急性期病院として地元の医療機関と手を携え皆様の健康を守ります。

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その他2022/04/08

各診療科・部門から~リハビリテーション科~


【骨粗鬆症と転倒予防】
2021年の日本人の平均寿命は女性87.74歳、男性81.64歳で過去最高、2021年9月末時点で100歳以上の高齢者が8万6510人(そのうちの88.4%が女性)となり増加の一途です。それに対し、自立した生活が送れる期間「健康寿命」が、平均寿命より男性で約9年、女性で約12年も短いことがわかっています。すなわち、余生の約10年間は何らかの介護・援助を要する状態で過ごさなければなりません。健康寿命を短くする要因として、転倒・骨折が11.8%となっており、脳血管疾患、認知症、高齢による脆弱などについで多くなっています。これを防ぐためには、①骨粗鬆症の治療、②適切な栄養、③適切な運動(転倒しにくい体作り)が大切になります。
 今回は、①骨粗鬆症の治療、②適切な栄養、③適切な運動について簡単にご紹介します。

1. 骨粗鬆症とは、
  「骨粗鬆症は、低骨量と骨組織の微構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が「増大する    
   疾患である」と定義されています。
   骨粗鬆症は、骨折リスクが増大し、QOL(生活の質)を低下させ、死亡リスクを有意に上昇させることが 
   わかっています。

2. 骨粗鬆症になりやすい、または骨折しやすい人
  1)50歳以上の女性
  2)やせている人
  3)ステロイド薬を使用している人
  4)家族に脆弱性骨折歴がある人(大腿骨近位部骨折など)
  5)喫煙習慣がある人
  6)過去に骨折したことがある人
  7)1日3単過度の飲酒習慣がある人
   (ビール:350ml 缶4本、日本酒なら3合以上)

3. 骨粗鬆症の検査
  1)レントゲン検査
  2)骨密度検査
    ●DEXA(デキサ)法(腰椎・大腿骨・前腕)
    ●MD法
    ●超音波法
  3)血液検査

4.骨粗鬆症の薬物療法
  1)破骨細胞を抑制することで骨密度を上げる
    ●ビスフォスフォネート薬
    ●SERM薬
    ●抗RANKL抗体薬
  2)骨芽細胞の働きを促進し骨密度を上げる
    ●副甲状腺ホルモン薬
  3)栄養素を補う
    ●カルシウム薬
    ●活性型ビタミンD3薬
    ●ビタミンK2薬

5. 骨粗鬆症予防のための食事療法
  カルシウム、ビタミンDをしっかりとりましょう。
  1)カルシウムが多く含まれるもの
    ●乳製品(牛乳、ヨーグルトなど)
    ●魚介類(いわし、しじみ、干しエビなど)
    ●大豆製品(納豆、木綿豆腐など)
    ●野菜、海藻(小松菜、チンゲン菜、乾燥ひじき、わかめなど)
  2)ビタミンDが多く含まれるもの
    ●魚介類(サンマ、ブリ、カレイなど)
  3)ビタミンKが多く含まれるもの
    ●野菜(ほうれん草、小松菜、ニラ、ブロッコリーなど)

6. 運動
  骨粗鬆症を予防し転倒しにくい体を作るには適度な運動が不可欠です。
  1)ウォーキング(有酸素運動)
   一番手軽に始められ、心肺機能の向上、骨を丈夫にする効果、体脂肪の減少による肥満の解消や血中の中性  
   脂肪減少、血圧・血糖値の改善など期待できます。ウォーキングは、手を振り、踵から接地し、しっかり踏
   み返すとスピードや消費エネルギーが少し上がりますが、意識し過ぎないでいいです。景色を眺めながらで
   も歩けるスペースで運動を楽しみましょう。
   時間:数分~30分程度から開始し体調に合わせて増減させてください。

  2)ベンチステップ運動
   10cm程度の踏み台または自宅の階段などで手すりなどをつかまえて、右足から登り右足から降りる、
   または左足から登り左足から降りる、を繰り返して行います。
   回数:連続 右足回 左足回×セット程度から開始し体調に合わせて増減させてください。

  3)スクワット
   両足を肩幅よりやや広めにします。ふらつきが気になる方は、手すりなどをつかまえて行いましょう。
   基本は、膝がつま先より前に出ないように運動を行うことが推奨されていますが、あまり意識しすぎなくて 
   いいです。一番気をつけてほしいのはゆっくり行うことです。
   回数:連続 1回あたり5~10秒 5~10回×3セット程度から開始し体調に合わせて増減させてください。

  4)立位での踵上げ運動 
   立位で手すりなどの安定したところにつかまり、両足同時に踵を上げ数秒保持してゆっくり下ろします。
   回数:10~20回×3セット程度から開始し体調に合わせて増減させてください。

   ☆1)~4)の運動は、どこかに痛みがあったり、動悸・息切れ・めまいその他いつもと違う症状があると
    きは運動を中止し、かかりつけ医と相談しながら運動を行ってください。


7. 最後に
   骨折は、健康寿命・生命予後まで関係する疾患です。元気な時は、
   「私が骨粗鬆症になるわけがない」、「運動しているから大丈夫。」
   と思いがちですが、元気で長生きをするためには骨粗鬆症の予防や検査・治療が必要だと思います。
 
   まずは、簡単に取り組める運動と食事から始めてはどうでしょうか。
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