診療科
部門
当院で扱う血管外科疾患は以下のものになります。
❶下肢静脈瘤
最もよく見られる疾患の一つで、「脚にできる静脈のこぶ」ですが、「静脈が太く浮き上がっているもの」を「静脈瘤」と呼称します。
(形状による分類)「静脈瘤」はその形状から「伏在静脈瘤」、「側枝静脈瘤」、「網目状静脈瘤」、「クモの巣状静脈瘤」の4タイプに分類されます(以下の写真)。
(症状)だるさ、こむらがえり、浮腫、かゆみ、皮膚症状(色素沈着、潰瘍、湿疹)
(治療適応と治療方法)治療適応:上記症状のため、日常生活に制限を感じる患者や皮膚症状を合併している患者さん、静脈瘤を増悪する立ち仕事に従事している患者さんには手術を進めます。たとえ静脈瘤が目立っても無症状では手術を勧めませんが、美容目的で強く手術を希望する患者さんは手術適応ありと考えています。治療方法:「伏在静脈瘤」には血管内焼灼術、血管内塞栓術をおこないます。かつて標準術式であった伏在静脈抜去術を行うことはありません。その他の静脈瘤に対しては硬化療法を行います。
❷深部静脈血栓症
下肢の静脈は、表在静脈と深部静脈に分類されます。表在静脈は皮下、深部静脈は筋肉内を走行する太い静脈で、通常でも90%の血流は深部静脈に流れます。この静脈に血栓ができる疾患を「深部静脈血栓症」と言います。「エコノミークラス症候群」もそのうちの一つです。
(症状)脚の違和感、張り、むくみを訴える場合が多いですが、広範囲に血栓が広がれば腫脹、痛み(緊満痛)を訴えます。
(合併症)肺塞栓症:発症早期に血栓が剥がれ、心臓を経由して、肺動脈を閉塞します。無症状で経過することも多いですが、肺動脈の閉塞程度によれば、重篤になることもあります。静脈血栓後症候群:深部静脈血栓症では、逆流を防止する静脈弁その機能が失われます。したがって、治療介入が遅れ、器質化した場合は静脈血流が再疎通したとしても、慢性的な脚の浮腫やだるさは残りますし、高度になれば色素沈着や鬱滞性潰瘍(下肢静脈瘤と同様)を形成することがあります。
(治療)抗凝固療法:ヘパリンによる持続点滴、経口Xa阻害薬が一般的です。早期治療が合併症予防に有用なので、診断とともに治療を開始します。血栓除去・血栓吸引療法:有痛性青股腫(紫色に腫脹し、放置すれば動脈閉塞も合併、壊疽に進展する最重症型)では緊急手術が必要ですが、内科的治療でも症状が持続する場合(発症3ヶ月以内)にも血栓吸引療法の適応です。多くは腸骨静脈圧迫症候群(左腸骨静脈が右総腸骨動脈と仙骨で圧迫されている)を合併しており、ステント留置も必要です(当院は実施施設には認定されていません)。
診察日:月曜日、木曜日
担当医:三井 信介
外来診療時間:午前
場所:診察室8