診療科
部門
おんが病院循環器内科は2名の常勤循環器専門医で日々診療に取り組んでいます。主な対象疾患は、心不全、狭心症、不整脈、心臓弁膜症、下肢閉塞性動脈硬化症、高血圧症、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群などです。医師会の諸先生方を中心に他の地域基幹病院やクリニック・診療所等と密に連携を取っており、毎年多くの紹介患者様を診療させていただいております。
❶心不全
心不全はいったん発症しますと、完治することなく進行性であり、突然死も起こし得る疾患と考えられています。また心不全入院された患者様の30-40%は再発し入退院を繰り返しますことが多いです。現在日本では心不全患者数が年々増加しており、この遠賀中間地区でも15年前と比較しても倍増しております。その増加している多くの要因は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が十分コントロールできていないことや、過剰な塩分摂取、運動不足、薬の飲み忘れといった生活環境になります。これらの問題点を解決するには、医師だけでは困難です。そのため当院では多職種による心不全チームを形成し、医師のみではなくメディカルスタッフと情報共有をしており、“心不全教室”という名の、新規心不全発症予防、心不全患者様への再発予防を目的とした生活指導を、体系的なプログラムを組んでおこなっております。この点が当院循環器内科の最大の特徴であり特性です。外来受診の際にもこの心不全教室はおこなっておりますので、ぜひ繰り返し心不全を発症され、悩まれている方はかかりつけの先生とご相談いただき当院受診をご検討ください。
❷狭心症
日本人の食の欧米化に伴い動脈硬化疾患は依然多くみられ、特にここ10数年で動脈硬化に起因して発症する疾患の若年化が進んでおります。特に糖尿病・高コレステロール血症・高血圧症・喫煙・睡眠時無呼吸症候群・高尿酸血症などを複数有する場合や、メタボリック症候群の方は若年発症する可能性あるハイリスクグループになります。狭心症は動脈硬化疾患の中でも、心臓を取り巻く冠動脈が狭小化する疾患であり、生命を脅かす疾患であるため早期の適切な診断・治療が必要になります。当科では狭心症が疑わしい場合、外来で非侵襲的にCT検査を施行し冠動脈評価を施行しております。その結果、早急な手術が必要と判断された場合は、JCHO九州病院・小倉記念病院等にご紹介し、早期治療をすすめております。
❸不整脈
近年は特に超高齢化に伴い高齢者に起こりやすい不整脈疾患が増加しております。多くの不整脈疾患は薬物治療が主になりますが、ペースメーカー移植術が必要な場合もあります。当科ではペースメーカー移植術・交換術を施行しており、現在も100名以上のペースメーカー植え込みをされた方が通院されております。また今後遠隔医療が進んでくると言われておりますが、それに対応し2018年5月より遠隔モニタリングも開始し、受診されなくてもペースメーカーを介して現在の不整脈の状況が院内で評価できるシステムを開始しております。
❹高血圧症
高血圧症は循環器疾患(虚血性心疾患・心不全・脳血管疾患)の最大の危険因子です。現在4300万人の高血圧患者が日本にいると言われております。しかし実際病院で高血圧の治療を受けられているのはその半数であり、まだ多くの未治療の高血圧患者が多くおられるのが現状です。当科ではこのような未治療または血圧が高くても病院を受診されていない未受診の高血圧患者を、早期より治療にあたれる様に高血圧医療連携に力をいれており、難治性高血圧、コントロール不良高血圧、若年性高血圧などにも対応しております。また遠賀中間地区は福岡県の中でも特に血圧コントロールが悪い地域と報告されており、個人のみへの介入ではこの問題点は解決困難です。高血圧は心不全発症の最大のリスクです。このままでは、さらに遠賀中間地区の心不全患者様が増えてくることが予想されます。そのため各地域の役場を中心とした行政と一緒になり、地域住民の血圧レベルを下げる取り組み・イベントを定期的に開催しております。なるべく薬に頼らない、生活習慣を改善することで血圧を下げる非薬物療法にも力をいれております。血圧がなかなか下がらなくてお困りの方はぜひ当院を受診ください。
❺睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Anpea Syndrome: SAS)は夜間のいびき、無呼吸、起床時の頭痛、夜間頻尿等を主な症状とする疾患です。従来は精神科、耳鼻科、呼吸器内科等で診断、治療が行われることが多かった疾患ですが近年は無呼吸に体内の酸素濃度が減少することが心臓、血管に悪影響を及ぼし、高血圧・心臓病等と関連があることが明らかになってきたため循環器内科で診断・治療が行われることも多くなっています。 当科ではSAS自体での自覚症状の改善、日中の生活の質の改善のみならず、循環器内科として心血管疾患を予防する目的からもSASの診断・治療を積極的に行っています。 診断として外来でのSASのスクリーニング検査(図)、簡易検査、また、1泊入院での診断確定のための終夜ポリグラフ検査(PSG 年間で約50名に実施)、診断確定後の持続陽圧呼吸(CPAP)での治療を地域の先生方と連携し積極的に行っています。